「紙屋川の改装を妄想するだけでワクワクするする」ミズタニ行進曲

2022年1月23日お知らせ

「新規加入者5万人超」
2022年1月23日の日曜日です。今日の朝刊に「国内新規5万人超」という見出しが踊っていました。スマホの契約者数のような見出しです。嬉しくない新規加入者です。わたくしの周辺でも濃厚接触者認定や陽性反応取得などの人が見当たるようになりました。身近に感染の足音が聞こえます。

あっという間に感染が拡大してしまいました。年末年始の楽しさを懐かしむ声さえ聞こえてきます。わたくしのお店はこのまま様子を見ながら、店内営業をしてゆく予定です。政府・行政から協力要請が正式に下れば従います。予定では1月25日の火曜日から時短営業となります(20:30酒類提供終了・21時閉店)。

近所・世間の感染者数にも応じますが、感染リスクが高まり、わたくしもスタッフの体調も心配になったら店内でのご飲食を取りやめる予定です。その場合はテイクアウトに限定したご用意になると思います。しかし、おはるの残りシフトはきちんと店内営業をして実行します。彼女にはきちんと引退の花道を用意する決意です。

「お店のテーマとコンセプトについて」
寒い冬になりました。雪も降り積もりました。外に出る気持ちも萎えるような天候と感染拡大。こんな状況ではお店も(やはり)暇です。そして暇な店に立つ時、何が足らないのかを考えます。天候や感染にも動じない強さに憧れます。どうすれば皆さんに選んでもらえるだろうか。紙屋川を思うとき、テーマ(主題)やコンセプト(概念)の薄さをいつも考えます。

龍安寺商店街のHOMEさんは、「近所の集会所」のような雰囲気がありました。日常の風景としてのテーマ、お店を利用するコンセプト、それらを支えるスタッフさんの距離感。日常の延長線上に「スーッ」と繋がっている感覚。大きな窓から見える庭と嵐電。近所にあれば利用したくなるチカラがあります。

餃子の王将さんやにぎり長次郎さんは、「選べる食事」を提供しています。安価でバリエーションが豊富。家族連れをターゲットにした店舗では、テーブルの占有面積も大きく設定されています。短時間でサクッと食べて帰る事ができる上に、食べる内容を個々に選べて調整できる。「分かりやすさ」は抜群です。

イルピアット紙屋川のテーマとコンセプトは何だろう。どうしてもわたくしのキャラクターと言われることが多くあります。しかしそれではダメなのです。自分のことになると途端に言葉も評価も見当たらなくなります。価格、料理の内容、メニュー構成、店内内装、考え出すとどれも足らない気がします。

「小さな店を作りたい?」
先日、友人の森川さんから「水谷さんはまた円町の様な小さな店を作る気はないの?」と尋ねられました。わたくしは、「小さなお店を作るなら「きちんとした」小さなお店を作りたい。円町よりも少し大きくて小さなお店」と回答しました。答えながら、「作らない」では無かったことに驚きました。わたくしはどこかの地点で、また一人で仕事が完結できるお店をしたいと思っています。

テーマやコンセプトはまとめて「チャーム(魅力)」と言い換えられます。円町は「狭小空間の驚き」と「サロンやゼミのような会話」がチャームでした。いまはすしぼんがバーをしてくれています。今でも円町はこのチャームが息づいています。紙屋川には円町のような「分かりやすさ」がありません。みかんの木はありますが、借景です。きっとわたくしはあの場所の可能性を使い切れてはいないのだと思います。

「紙屋川の改装可能性について」
一層の事、紙屋川を作り直してもいいかと思います。どこかのタイミングで。作り直したいのは厨房でしょうか。カウンター席の在り方と、厨房の設備見直しは課題に挙がってきています。わたくしのお店には電子レンジがありません。油で揚げ物を作るフライヤーもないし、天火で焼くサラマンダーもありません。コンベクションオーブンは魅力的ですが、果たしてわたくしの気分に合うかどうか。専用の鉄板コンロも魅力的です。

厨房は二人で作業するスペースをイメージして広く作りましたが、そんな事にはなりませんでした。調理はわたくししかしないのです。この事は恐らく、この先も同じです。厨房機器を見直すと、調理内容も変わると思います。「話が早くまとまる調理」が生まれます。作業の効率化が図れれば、もっと段取りよく展開もできるかなと思ったりします。

森川さんの質問は、わたくしの奥底に眠っていた気持ちのドアを叩きました。まだ起きてはおらず夢の中ですが、考えてみると色々としたいことが出てきます。白河夜船を決め込んでも、刺激には反応してしまう。長引くコロナ禍は、自分のチャームを設定できていない不安や足らない部分も明らかにするようです。

「ワクワクしちゃうぢゃないか」
はぁー。そうかー。分かっていて触っていない部分を認めてしまうと、今を壊したくなってしまいます。わたくしは過去に作り上げてきた何かしらにこだわりを持ち続けられません。むしろ、手離して新しく作り直したくなります。どうしよう。わたくしは先鋭さを失いつつあるのではないだろうか。料理が付け焼き刃になっているのではないだろうか。今さえ乗り越えられたら構わないなどと、考えているのではないだろうか。

紙屋川をきちんと活かす方法を考えたくなりました。このクソコロナ禍でも、もっとできることがあるはずなのです。わたくしはどうしたいのだろうか。まだ使われていない紙屋川の能力があります。わたくしはまだそれに気付けていないようです。何だろうか。少しワクワクしてきました。あの店、まだ何か隠しているな。

「重点措置は効果を見込めない」
今回の重点措置による時短要請協力が、感染拡大を抑えるかどうかは未知数です。ですが、10月に緊急事態宣言が解除されて通常営業ができるようになっても、遅い時間まで飲食をされる方は激減しました。年末年始の忙しさを含めて振り返っても同じです。「21時閉店」によって感染が抑えられることは考えにくいです。感染拡大は飲食店が遅くまでお酒を提供するから起きているのではなく、「オミクロン」が持っている強い感染能力によります。

わたくしはこれまで以上の感染予防対策は無理だと考えています。むしろ、今の感染拡大をどのように受け入れて対応するのかを考えてもらいたい。重症者数や死者数などはとても大切ですが、影響が少ない人数も同じくらいに大切だと思います。政府も難しい判断を迫られているものと思いますが、「結果が出なかった場合のシナリオはもうある」のだと思いたいです。

今年もまだコロナ禍は続きそうです。その中にあって、紙屋川には何ができるのか。実は、紙屋川は特別大きなお店ではないのです。むしろ、小さな方です。あの限られた空間でできそうな事をきちんと考えてみようと思います。また展開が変わればお知らせします。直近で2月はテイクアウトも含めて考えてみようと思います。なるべく、店内でのご飲食を叶えたいと思っています。わたくしはじっとしていられない質ですみません。