2021年4月25日㈰ 3回目の緊急事態宣言が発出されました。

2021年4月26日お知らせ

 2021年4月25日・日曜日22時10分。今回はきちんと書き上げられるといいな。京都市は本日より緊急事態宣言下に置かれました。今回の宣言下では飲食店での酒類提供を「やめてね」と要請されています。紙屋川でも火曜日からの営業でお酒の提供を停止します。期間は5月11日火曜日までですが、延長の可能性もあります。さて、どうなるでしょうか。

 私が親しくしているお店の幾つかは夜の営業を止めたり、休業を選んだりしています。皆、苦渋の決断だったと思います。協力金を申請し、前向きに「有給休暇」として捉えられれば気持ちも楽ですが、恐らく、そんな方は少ないかと思います。私たちへの具体的な制限は一年間続いています。もちろん飲食店だけではありませんが、休業要請や時短要請、感染予防対策などは宣言や要請によってもその内容を変えてきたこともあって疲れてしまいました。その都度対応し、試みてきた果てに今回の緊急事態宣言です。

 今日のニュースに「重症者は27人増えて864人です」というものがあった。毎日のように聴いてきたのに今日は「待って、いま何て言った?」と引っかかった。医療がひっ迫しているというからてっきり重症者は数千人くらいいて、入院する人は十数万人はいるだろうという感覚でした。毎日、新聞の切り抜きをして感染者数を見ているのに肝心な点に引っかからなかったのはなぜだろう。改めて数字を確認して追った。

 すると、感染者数は過去累計で本日現在56万8350人・重症者864人・死亡9978人・退院50万1609人(4月25日18:45現在)とある。この数字は日本国内の新型コロナウィルスの経験値数と言ってもいいでしょう。この数字から見ても現在の国内感染者総数は本日6万6700人程です。この内の864人が重症なので割合は約1.3%です。この数字が多いのかは私には分からないです。2021年4月25日現在の重症化率は1.3%なのです。そして重症者を抱える都道府県では医療体制のひっ迫が叫ばれています。東京・大阪・兵庫・京都がそうで、大阪は「医療崩壊で災害レベル」と発表しています。

 少し話がズレますが、南海トラフ巨大地震のハザードマップを見ると大阪府は死亡推定13万人とあります。対策によって減るともいわれていますが、発災時刻や状況によっても被害は変わるので13万人想定は大げさではないと考えます。先の東日本大震災で発災から3か月過ぎた6月20日時点の被害に、「死者15000人・行方不明者7500人・負傷者5400人・避難生活者12万5000人」とあります。この数字を大阪府のハザードマップに照らして比較すると、大阪府下だけで東日本大震災の8.6倍という被害想定になります。

 大阪府だけで単純に8,6倍とカウントするならば負傷者数は4万6440人。このうち入院が必要な割合はよく分からないのですが、皆が入院ではないだろうし負傷者全体の2%が入院するとして約930人分のベッドが必要です。これがコロナ前に発災してしたとしてもベッドは足らなかったのでしょうか。大阪府の人口は880万人ですが、突然に1000人程(人口の0,11%)が入院を必要としたら対応できないという事でしょうか。新型コロナウィルスは対応が特殊すぎて整わないという事でしょうか。以下に調べてみました。

 繰り返しになりますが、本日現在でコロナ重症者864人です。今日だけで27人が重症化しました。東京の人口は1396万人。兵庫県は543万4000人、京都府は256万2000人です。各都府県の「新型コロナ対応ベッド数」と「重症者対応ベッド数」はNHKの特設サイトの「病床使用率 全都道府県グラフ」
(https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/hospital/)
を見ると一目瞭然です。驚きなのは重症者用ベッド数の少なさです。大阪府464床、兵庫県116床。京都府86床、東京都1024床とあります。新型コロナウィルス対応ベッド数は、大阪府2022床、兵庫県839床、京都府466床、東京都5048床です。ニュースになる病床使用率などはこの数字を基にしています。

 皆さんの印象はどうでしょうか。当該地域だけで賄おうとすればひっ迫する数字になっています。とはいえ、地方もベッド数が多くあるとまで言い切れません。先進国の中でも日本は人口当たりのベッド数はトップなのです。おかしな話です。ちなみに、フランス国の人口は6542万6000人です。ざっくりと日本国の半数です(52%ほど)。そのフランスは4月24日現在の感染者累計550万2014人です。死亡は10万2655人です。ほぼ日本の新型コロナウィルス経験値の10倍です。致死率も同じくらいですから、重症化率や入院必要率も似ているものと考えます。単純に考えると、フランスは8600人程が重症化しているようなカウントです。ちなみに、フランスは4月23日から24日の1日で3万2340人感染者が増加しています。

 日本の半分ほどの人口の国で、感染者数は10倍です。ひろゆき氏がYouTubeで話していましたが、フランスから日本に帰ってきて「めっちゃ人混みあってびっくりした」そうです。フランス地域によってはロックダウンしていますから、日本とは違う制限になります。ここで登場するのが「個人の自由を制限する」という考え方です。大阪府の吉村知事は府下で感染者数が減らない事と、飲食店での賑やかさが収まらないことを念頭にして「日本は踏み込んでいない。社会の不安の解消のために個人の自由を大きく制限することがあるということを国会で決定する事が重要だ」(京都新聞2021年4月24日)と発言しています。

 さて、やっと本題です。お疲れ様です。ここまではデータなどを基にして、今の状況を皆さんにご紹介できればいいなと思いました。病床数や感染者数、重症化数などは巨大災害からのハザードマップなどを参考にしてこれまでも対応を協議したり整備したりはできたはずでした。新型コロナウィルスが国内で初めて感染確認された2020年1月15日からもう16か月以上過ぎました。補助金も協力金も否定的で考えもできなかった前安倍政権は突き上げられる形で応じてきました。それは2020年9月16日に内閣総理大臣に指名された菅氏にも引き継がれました。突き上げられる形で応じる「型」も引き継がれました。

 2020年4月7日に東京・神奈川・埼玉・千葉・大阪・兵庫・福岡の7都府県に初めての緊急事態宣言が発出されました。宣言は4月16日に対象地域が全国へ拡大します。5月14日に北海道・東京・埼玉・千葉・神奈川・大阪・京都・兵庫の都道府県を除く39県で解除。5月21日に大阪・京都・兵庫が解除、5月25日に全国で解除されるまで続きました。7月22日には「Go Toキャンペーン」が始まりますがこの日は795人の感染者が確認され、1日の感染者数記録更新をしています。

 2020年11月24日に大阪府は「27日から15日間の市内繁華街にある飲食店を対象に営業時間短縮要請」を決定。12月11日まで21時閉店要請の始まりです。北海道は11月7日から独自に時短要請が始まりました。12月14日夜に政府は「12月28日から1月11日までGo Toトラベル運用停止」を決定。この日、菅氏は二階氏に呼び出されて8人で会食し謝罪に追い込まれます。12月19日に関西広域連合は「緊急宣言」をし年末年始に出かけたりしないよう要請。京都府は12月21日から21時までの時短要請が始まりました。そしてこれらは解除されることなく、1月7日東京・千葉・埼玉・神奈川に緊急事態宣言2回目が発出。期間を2月7日までとしました。1月9日に大阪・兵庫・京都は国に緊急事態宣言発出の要請、1月14日から緊急事態宣言2回目が発出されました。

 と、細かく書くのも疲れてきたのでこの辺にします。緊急事態宣言は現在、3回目が発出されました。それが今日です。4月25日。過去歴をきちんと追うのも疲れます。いま手元に新聞スクラップがないので細かな時短要請の始終をまとめられなくて残念です。ネット上には私の把握しているような情報をきちんとまとめたものが見当たらず、少し驚いています。誰か作ってくれたらいいのに。経緯はとても大切です。どのように変化してきたのかを理解しておかないと、現状がどこから繋がっているのか曖昧になります。歴史も同様ですが、現在の根拠を曖昧に解釈できると文脈が変わってきます。

 現状と経緯をざっくり知った上で、先に紹介した吉村知事の「個人の自由を制限」という話です。私は法に詳しくありませんが、知事が言う制限は憲法が保障している「行動の自由」を指しているものと思います。日本国憲法第3章第11条・12条・13条あたりの基本的人権などに掛かる「自由」に対しての制限とするとこれは憲法を改憲するという考えかと推察します。維新の会は元々、憲法改憲を前向きに考える政党です。この発言自体は初めてでもなく、知事の所属政党の考えを重ねたものと解釈しています。

 例えば知事は、「お酒飲んで騒がないでねって言っても分からないし、守ってもらえないよね。じゃあ、飲食店の休業や時短してもらったり、お酒出しにくくしてみよう。場所があるから騒ぐものね。人も行きたがるし。そうだ、大きな施設や百貨店も休んでもらおう。そうすれば行き場がなくなるものね。大人しくなるかなぁ。人が動かなければ感染しないもの。しっかし感染者、減らないね。なんだろう。自由にさせすぎじゃね?」って感じで来てると思うんですね。でも、要請に応じないことを刑事罰にしても感染は止められないことを知っってる。罰則強化して接触が無くなって感染が無くなるなら、この国からそもそも犯罪が消えてないとおかしいです。だから今は「場所」と「機会」を奪う(もしくは止める)事で接触を挫く方法を選んでいます。

 知事が言うように、「飲食する・酒飲む・歌う」などそのものに罰則は設けられようがありません。ただの行為ですし。しかし、その先の課題(例えば今回なら感染拡大)を抑え込む為には制限が欲しいと言ってます。お願いレベルじゃ無理、ということ。経済を優先して、五輪も開催したくて、病床数は足らないし、ワクチンも用意できてないけれど、感染拡大は言う事聞かない奴らがいるからだ、とにじみ出ています。しかしそれは大阪府民に顕著なのであって、日本国民すべてじゃないんですね。都構想であれ程、「大阪府民・市民のために!」と言っていた人が一部の聞き分けない人を抑え込む為に憲法の内容を再考するように促す。

私は大阪府民の一部だけが「守らない」と言うのではなくて、「どの地域にも要請には応じられない人がいるものだ」と考えています。そしてそれは自然現象であって、犯罪が無くならないようにどうしたって生じると思います。その一部をどうにかしたいという熱量だけで全国民に関わるような設定を提言してしまう。どうして要請に応じない人たちと向き合わずにそういう事を分かりやすく言ってしまうのだろう。「正しさの証明」を知事は求めるが、その前に「この要請は困難だろうし、辛さがある」と寄り添えないのか。協力金を給付すればいいって話ではないと思うのです。

そもそも。ワクチンを用意すると言っていた時期がどんどん遅れている事が全てをこじらせている。ドイツは国民の成人全てが6月中にワクチン接種が完了すると発表。イギリスも50歳以上のワイクチン接種を完了。アメリカは既に1億2000万回分の接種を終了。イスラエルはマスクなしで外出してよい。中国も強い制限がなく経済が回復し月18%以上の経済成長率を出してる。日本は「7月中に高齢者接種完了」と4月25日の新聞に記事があるだけです。なんだこれ。途上国並みのワクチン接種率の日本がどういう感覚で「国民の自由を制限する」案件を提言するのか。

ドイツでは5000人規模の野外集会が摘発されていました。フランスでもアメリカでもブラジルでも同様の地下パーティーは起きています。しかし日本国内にそんな事件はない。摘発も聞かない。あるのは「居酒屋でクラスター」もしくは「接待飲食店でクラスター」です。でもそんな他の国々ではワクチン接種は進んでいます。「摘発するために憲法の改憲が必要」と本気で考えているなら恐ろしい事です。方法は他にあるはずです。自由の制限を考える時だけ「海外では」などと言うが調子がいいし都合がいい。海外にある難民申請手順や夫婦別姓など何のモデルにもしないくせに。夫婦別姓が義務化されている国を他に聴いたことがない。

維新の会は結党以来「大阪都構想」を党の目標としてきました。昨年の11月に2回目の住民投票を行い否決されました。しかし維新の会は市議会と府議会での優位さを良いことに「条例化」として実質的な府と市の統合を着々と行っています。住民投票で確認した「民意」など単なるパフォーマンスだったことを証明しています。元来、維新の会はイメージ戦略のみでやってきました。住民投票で勝利すれば「堂々と表向きの権力を獲得できる」という考えです。「表向きの権力」は結局、得られませんでした。「民意は反対という事」などと会見で潔い振りをしながら条例を作る。その党が「国民の自由を制限」と発言する。こちらの自由を制限する考えの前に、否決されたはずの都構想をすっかり諦めてみせるのが筋じゃないのか。

病床確保も医療体制整備も菅首相は会見で「法律がなくできない」と言いました。特措法を作り宣言を段階的に発出できるようにし過料まで盛り込めるのに、どうして病床確保を日本全国で賄ったり医療体制を統括する機能を構築したりができないのだろうか。16か月も経った。人口が半分のフランスの10分の1しか感染経験がないのに、この有り様は全て政治判断ミスと言ってよい。「落ち着いたら緊急時の医療について整備します」と菅氏は付け加えた。事が済んでから手を付けると言う。国民の自由を制限する考えの前に、全国会議員と全閣僚の国語テストと倫理観チェックを制度化すべきだろう。信仰・思想の自由は保障される。その上で、各議員の持つ倫理観を表示する事はおかしなことじゃない。

こうして考えてみて、本当に今回ほどの制限が必要なのかという疑問と、五輪開催断行を厳とする意思のための緊急事態宣言ではないのかという疑念と、政治失策のツケを国民に被らせるだけ被らせるその面の皮の厚さにも私は耐えてみせる。私はすっかりと政府の要請に応じます。しかしそれは支持しているからではないのです。政治からの不誠実さをはっきり強く言い指摘し、断罪するために応じているまでです。協力金も申請します。しかしだからと、権力を好き勝手に行使されることへの注意は怠りません。日付が変わり4月26日月曜日2:43深夜です。ぐっすり寝ようと思います。おやすみなさい。 トニー