経営者同士食事会

2013年6月5日手記

今日はフィンガーマークスの矢野さんと夜に食事へ行きました。西陣のリノベーションでは本当にお世話になり、素晴らしい内容をご提供くださいました。

今日はもっぱら、これからの経営についての意見交換会みたいな食事でしたが、本当に多く勉強になりました。矢野さんが上手いこと持ち上げてくださるので、ついつい調子に乗って色々と話してしまいます。

しかしその中においても、経営者視点の鋭い洞察力と発想力、瞬発力と実行力には驚かされるばかりでした。私にはまだ大きな目標設定がありません。これからのビジョンをイメージしたりしますが、専門的には捉えきれていないのが実情です。やはり、先を見ている人の感覚はでかいなぁ。自分にまだ足らないスキルをたくさん感じ取りました。

私は調理が仕事です。同時に、お店を動かしているわけですが、一人でできる限界点に到達している実感もあります。調理師としてどこかのお抱えで安定した暮らしができるなら選びたいものですが、そんな事もある筈もないです。一人でこのまま続けるのは変わりませんが、続けるには人の力を借りねばなりません。

私は年齢を重ねた先をイメージすると、これまでのイルピアットシステムでは長く続けられないなと思ってきました。それもこれも、1人だからです。しかしだからと、人を雇えばそれで解決もしないのですね。私の作ったシステムはオリジナルすぎるので、コピーができません。年齢が重なれば、身体もついて来なくなります。どうしたものかと。

多くの方は私を職人だと見て下さっています。本当にありがたく思っていますし、自分では身に余る思いです。しかし職人がきちんと生活を続けるにはマネジメントは必須です。そして職人はその特殊性から自身のマネジメントは苦手です。私は職人の前に、自身をきちんとマネジメントしていたいと思います。品質は二の次、と言うのではありません。技術の習得や勉強はそれこそ、必須です。しかし、それだけでは広がらない。

今日足を運んだ「八百一本館」は本当によく出来ていました。八百屋の専門性を活かした生活提案をコンセプトを持って創り上げられました。登場してみるとこうして好きなことを感想として言えますが、重要なのは、それを生み出した事実と発想力です。あれは誰にでも出来ていなかった。八百屋さんだけなら到達し得ない領域です。現に、あれを誰もが思いつくなら、髙島屋も大丸もそうなっていてもおかしくありません。同じものでないまでも、生活提案のコンセプトはコンパクトでいいと一点集中的に展開できないから伸び悩みます。

私は調理が仕事ですが、お客さまの多くは料理だけ美味しければいいと思っていないことを知っています。

私は調理できることが大前提ですが、しかし、皆さんが思っているほど職人ではありません。9年前に私は、自身の調理技術が社会に通用するのかを確かめたくてお店を作りました。そして、それなりの成果を得られたと、あるラインで切る決断をしました。それが8月31日に終了する夜営業です。ある意味で、イルピアットは閉店すると思っています。9月からは(それこそ)屋号を変えて展開するくらいの気持ちです。

私は矢野さんにそんな話しをしました。

矢野さんは私に関心を持っていただいている様子で、本当に恐縮です。しかし、きちんとそういうお話ができてさらにスッキリとしました。9月からの展開は全くの新展開になります。イルピアットの引き続きでないかもしれません。それでも、そうしないと結局は続いて行かないのだと思います。職人という枠が持つ特殊性を私は完結できませんでした。幾らかの方の期待に添えない事を、本当に申し訳なく思っています。

しかし私には本当にたくさん、したいことがあります。

今日は刺激を受けたなぁ。

矢野さんみたいに大きくなれませんが、見たい景色はまだ随分と先にあることだけは分かっています。