京都行政への意見提出とその回答をまとめます。

2020年8月6日ミズタニ行進曲

 2020年8月6日木曜日です。今日は広島の日。広島にとって特別な日であると同時に、人類にとっても今に続く戦禍を収められない恐怖世界の入り口を開けた日でもあります。今日は原爆投下から75年。今日を広島の三原市で迎える事にも意味があると感じています。原爆投下による死者数は国連発表として累計で14万人±1万人。名前が分かっているのは8万人だけで、残りの人々は家族ごと消し飛んだり、朝鮮人労働者だったり、他県者だったりしていることで名前が分かっていないそうです。原爆死没者数は32万4129人。投下直後の広島を語り継ぐ人の数も年々減少しています。広島原爆に始まった核攻撃の可能性を、人類は手放せずにいます。

 7月中旬から京都行政に問い合わせを続けてきたコロナウィルス感染予防について、昨日、感染予防対策本部の方より連絡をいただきました。これまでの経緯を簡単にまとめると、「京都市内で発生したクラスター感染は「接待を伴う飲食店」を中心に確認されているのではないか」「接待を伴う飲食店と飲食店をないまぜに公表することは承服できない」「5ルールではクラスター感染を防ぐ手立てにならない」という大きく3つの内容を行政の各機関へ問い合わせてきました。私のお店では接待を伴う行為もなく、どうした行為でクラスターが発生したのかの詳細な行為についても問い合わせてきました。

 行政の政策決定経緯や対策会議内容については分かりませんが、対策本部の話では「(いわゆる普通の)飲食店での感染も確認されているんです」という事でした。私はその場合、どういう行為で感染があったのかを問い合わせましたら「向き合っての食事や、賑やかな食事、酔いが深くなって距離を保つ意識が浅くなっての行為」などと伺いました。「一般的な食事などで感染するリスクも0ではないが、気を使って意識すれば感染リスクは遠ざけられます」とのことでした。京都市は京都府の「5ルール」の発表を受け、食品衛生法上の飲食店舗2万店へ「感染防止ガイドライン」の郵送を8月中旬を目処に行います。このガイドラインは飲食店の感染リスク理解と啓発が目的です。「5ルール」は利用者へ向けた啓発ですが、「ガイドライン」はそれに付随しての飲食店への啓発ということです。

 「ガイドライン」には、クラスター感染が発生した店舗の公表を考えている旨も明記されています。私はこの要項が「飲食店への厳しい眼差しだ」と伝えました。しかし担当者が言うのは「この公表はケースバイケースです。ガイドラインにある要項遵守をせず、感染リスク行為にも意識が軽薄で、かつ、感染経路不明者が生じる場合に封じ込めるための対策」との説明でした。接待を伴う飲食店だろうと飲食店だろうと、「飲み回し」「酔いに伴う感染意識低下」「はしごする事で起きる感染経路不明とその拡大」は起こりうる事態として意識をして欲しいとのことでした。府の「5ルール」は利用者に感染リスクを啓発する役割を持ち、市の「ガイドライン」は飲食店への感染リスク理解の啓発役割を持つ事を繰り返し説明されました。

 対策本部担当者、保健所、京都府、京都市と話した経験から、まさに課題は「利用者も提供者も、感染リスクは無くなっていない理解啓発とその予防」と言う一致。新聞報道表現も「接待を伴う飲食店と飲食店」を一緒くたにして意識啓発する有効性。間違いなく言えるのは「感染リスクの理解」を利用者・提供者が高めることで感染拡大は抑えられると言う点です。私は飲食店への利用マインドがネガティブになる点を担当者に話しました。「感染リスクの理解が広がれば安心して利用できるようになると期待しています。日常での規制を強化するのではなく、意識を高めて感染リスクを遠ざける努力を双方が努めることで乗り越えられるようにしたい。ですから、皆さんの協力なしでは成り立ちません。そのための「5ルール」「ガイドライン」の啓発と考えています」と言うことでした。

 私は「5ルール」でクラスター感染を防ぐ有効性はないことも伝えました。担当者は「具体的にクラスターを押さえ込むためというよりは、(おそらく府は)感染リスクにつながる環境を整えないようにするための呼び掛けがしたいのだと思います。その呼びかけが「ルール」となるのも、分かりやすく広めるための言葉選びと「ルール」が持つ厳しさを意識してもらう効果でしょうか。おっしゃるように、行為の封じ込めではないのでクラスターを発生させない具体策かと言われれば余地はありますが、クラスター感染環境を遠ざけるには有効と考えています。市のガイドラインも同様に、「感染しやすい環境と雰囲気を作らないため」に飲食店舗へのお願いとなっています。」

 「新聞表現に見る厳しさ」「5ルールによる利用者への啓発」「ガイドラインによる提供側への啓発」これらを意識しなくても良くなったかのような「緊急事態宣言解除」。まさに、ウィルス感染の再拡大は宣言の解除により「感染リスクの忘却」が引き起こしたと言っていいでしょう。そしてこの事は私を含め、4月以降にきちんと対策を続けてきた飲食店たちには耳障りに聴こえ映っています。「きちんとしているのに、なぜまたガイドラインが必要なんだ」と言う意見も分かります。しかし丁寧に時系列から現象を振り返ってみると、緊急事態宣言解除後の感染リスク忘却により私たちは日常生活の「快適さ」を取り戻せました。その結果、「快適さ優位」になり感染リスクを忘れてしまった飲食・会食が生じていることも事実です。利用者・提供者ともに、再び感染リスクへの理解と認識を高める必要に行政は難しさを抱えつつ対策を打ち出している、と言うのが現状です。

 以上のことから、私はこれまで感染予防対策を取ってきた飲食店はそのまま継続で良いと考えています。「2時間でお開き」は言葉になると窮屈に感じますが、感染環境を作っていなければ問題ないと考えます。しかし同時に、1時間足らずで酩酊すればお店のはしごは元より、帰宅することが懸命なのは自明です。あるお店で提供されている「1リットルのメスシリンダー」のような飲み物は、回し飲みを誘発する商品と私は考えています。提供側はその商品がチャームであっても高い感染リスクであれば判断を迫られる状況にあると意識する必要もあると思います。利用者も感染リスクを意識しての食事を考えれば、「回し飲み」はしないものと思います。繰り返しますが、通常の飲食での感染リスクは0ではありませんが高くはないのです。立ち飲みでも、居酒屋でも、対面でも、どう意識して過ごすのかによって結果は変わってくると期待するものです。言い換えれば、今は、まだその程度で感染拡大防止ができるのであれば意識する方がいい。これ以上の規制になれば休業要請や厳しい縛りが「やむを得ないことにもなる」と考えます。

 言葉の理解は非常に難しく、関心のある点に言葉の解釈は捕われる性質を持っています。だからこそ、その解釈をめぐりこうして繰り返しヒアリングすることは重要だと考えました。私は各行政機関とのやり取りを通して、最前線で作業する職員の難しさも感じ取っています。まさに、選ぶ言葉に苦慮している様子でした。行政の打ち出す対策と政策をきちんと把握し、おかしい事にはおかしいと言っていいです。一番いけないのは、感情的になることと自分勝手に振る舞うことでしょうか。行政はもっと良くなります。そのためにも、私たちも日常の積み重ねから思う経験について意見を行政に上げることは重要で有用です。コロナウィルスが日常になるなんて嫌でしたが、そうも言ってばかりいられません。私は私にできる感染予防環境を意識して、イルピアット紙屋川を続けてゆこうと思います。同業者の皆さん。できる事を重ねてゆきましょう。私たちの対策は間違っていません。重要なのはあきらめない事と、嫌気を陽気に変えるマインドです。私で良ければ話を伺いますのでお知らせください。